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2018年2月8日木曜日

「ハイテク歩行器」を東京・吉祥寺の成蹊大学前の道路で実験

 ハイテク歩行器の実験
2018年1月20日に、吉祥寺の成蹊大学前の通りで、森英雄が眼を開いた状態で、歩行器を手押しして実験しました。
左右のカメラの距離画像
  左側の塀に沿って歩きました。塀に10cmに近づくと”右右”と、70cm以上離れると”左左”と警告します。
左右のカメラ
障害物に5mづくと”前方に何かある”と言い、さらに3mに近づくと”よけて進むか退くまで待つ”と言い、3mから2mに近づくと”止まれ止まれ”と言い、2m以内では”ポー”とビープ音を鳴らします。
 実験ではクランクで障害物の警告をだしました。開眼者なので右によけてクランクを回避しましたが、視覚障害者は杖を利用して回避する必要があると思います。

 詳しくは、その実験中のハイテク歩行器のシステムが処理中のステレオ距離画像の動画とその説明(URLをクリック)をご覧ください。https://youtu.be/SgJPltTzlzc

 開眼者の実験なので視覚障害者の役にたつかどうかわかりません。次回はアイマスクをつけて実験したいと思います。(森 英雄)
     

2016年8月4日木曜日

◆【論文】ステレオカメラを有するハイテク歩行器『ひとみライト』

ステレオカメラを有するハイテク歩行器 
ひとみライト

○森英雄(NPO法人歩行ガイドロボット)、丹沢勉(山梨大学工学部)


要約
 ハイテク歩行器は、ノートパソコンとステレオカメラ、距離計、ソナー、コンパスを搭載する歩行器で
ある。利用に先立ち道順を晴眼者がティーチング(登録)する。視覚障害者は自宅の玄関などの出発点に歩行器を置き、道順を選択してから、歩行器につかまって歩きだすとイヤホーンから音声またはビープ音で案内を出す。
 案内は、歩行につれて"左側に塀がある"、"塀の終わり"、"交差点"などと、環境の説明をするものと、歩行器が現在位置を確認するための目印として、"左側に電柱"、"塀の終わり"などがある。
 ビープ音の"ぽー"(700Hz、1秒)は止まれの指示で、"ポッポ"(500Hz、0.5秒間隔)は右によれの指示である。"ピッピ"(300Hz、0.5秒間隔)は左に寄れの指示である。

1.構造
 図1(a)はハイテク歩行器「ひとみライト」の正面図、(b)は背面図、(c)は後輪に接触させたシャフトエンコーダの図で、これで歩行距離を計測する。歩行器(島製作所サニーウォーカ)にステレオカメラ等を取り付ける。高さ83cm、幅43cm、奥行き52cmである。装備を載せて、重さ8kgである。
 ノートパソコンは、Windows7,core-i5である。背面図の下方にある袋に入れる
 ステレオカメラ(山梨大学丹沢研)[1]は、正面図のハンドルの前にとりつけてある。水平画角52度、左右カメラ間隔200mmである。測距精度は5m先では、奥行き方向100mm、水平方向35mmである。歩行器の高さ83cmの位置に俯角8度で取り付けてあり、路面からの高さ15cm以上で2m以下の範囲にある障害物を検出する。ステレオカメラのシステムはPCのソフトウエアで作られている。1回の距離画像取得と音声発話に320msを要し、CPU使用率は78%である。
 ソナー(超音波センサーURM7)は、ステレオカメラが検出できない1.5m以内の障害物を検出する。
 コンパスは磁気方位計(Haneywell HMC5883L)である。磁気方位計の基板の取り付け角度は、常時補正している。
 ソナーと磁気方位計は、ステレオカメラの上の小箱に入れてある。

2 ステレオカメラ
 図2はステレオカメラの処理画像である。左上の画像は右カメラの画像である。左下は距離画像
である。距離画像は、1024×768画素の画面を8×8の枠で右カメラと左カメラで照合して、左カメラの枠をどれだけ移動すれば右カメラと一致するかを調べ視差を求める。距離画像の図は視差を検出した点の図である。視差検出点を視差の大きさに応じて色分けしている。赤は2m以内、黄は3m以内、緑は6m以内、青はそれ以上である。左側のフェンスは黄、緑、青で、街路樹は緑で表されている、
 図2の右の画像は距離画像の垂直投影画像で、2つあり、左は1mから6m付近まで、右は20m以上の遠方まで拡大している。垂直投影画像は、視差検出点を路面から高さ15cmから2mの範囲で垂直投影し、視差検出点の数の多さに応じて、赤から、黄、緑、青の順に表示している。左の垂直投影画像では左側のフェンスが斜線状に表され、街路樹が右側の5mから6mの間に表示されている。垂直投影画像の下に2つの小さな画像がある。左は障害物検出された路面の画像で、右は障害物のない路面の画像である。
3 歩行区間
 垂直投影画像から「衝突危険区間」と、道路境界に沿って歩く「歩行可能区間」と、広場や交差点などの「目印検出区間」を作る。
 衝突危険区間は、歩行器の横幅43cmの前方に伸びる区間である。ここに障害物検出点の数が閾値以上ならば、そのまま進むと障害物に衝突する。この閾値は視差検出のミスマッチを除去するために設ける。
 障害物の警報音は、視差検出点の位置を危険域(1m以内)、警告域(2m以内)、注意域(3m以内)と3段階に分け警報音を変えている。それぞれの域の値は、歩行速度が速くなると、大きくしている。
 歩行可能区間は歩行器の左右にあり、ここに視差検出点があるときは、それがなくなるように右または左に寄らなければならない。この区間の設定は歩きやすさと自動車等との接触危険性のトレイドオフで決まる。

 目印検出区間は、歩行区間の外側に一定幅で設ける。この区間に障害物点が続けば塀やフェンスなどがあると判断する。塀やフェンスが消滅した点は目印になる。またこの区間に視差検出点が孤立してあれば、電柱や街路樹などの目印である。

4 音声指示
 ハイテク歩行器は、音声で視覚障害者に出す指示を、次のように決めている。   
 衝突危険空間で出す指示は、障害物に接近したとき出す音声"3m先注意"、"2m先注意"と障害物の直前で出すビープ音"ポー"である。
 歩行空間で出す指示は、右に寄れを意味するビープ音"ポッポ"、左によれを意味する"ピッピ"である。
 目印空間で出すのは、"左に塀がある"、"右に塀がある"、"塀の終わり"、"広場か交差点"、"左に電柱"である。

5 経路情報
 経路情報は、ステレオカメラの「歩行区間」と「見印検出区間」のデータに加えて、位置方位データ(xy、θ)を用いる。位置方位データは、磁気方位計と左右のシャフトエンコーダから算出する。
 経路情報のコマンドは、歩行、ターン、発話、一時停止、経路終了からなり、英数字で表わす。   
 歩行は、WS,WM,WE3つのコマンドからなる。
 MSは歩行区間の最初を規定し、3つのパラメータで表す。一つは歩行区間の始端の位置と方位で、二つ目は、道路境界の右側に沿って歩くか、左側に沿って歩くか、道路境界なしで歩く(真っ直ぐ歩く)、を指定する。道路境界ありと道路境界なしを組合わせると、塀が途切れたり、白線が不明瞭な道路でも経路情報が作れる。三つ目は、道路境界の種類で、フェンス、白線の外側、白線の真上、白線の内側を指定する。
 WMは、位置を補正する目印を規定する。2つのパラメータがあり、一つは目印を検出する位置と方位、二つ目は目印の種類、すなわち塀の出現、塀の終わり、左側の電柱、右側の電柱を指定する。
 WEは、区間の終わりを規定する。パラメータは一つで区間の終わりの位置と方位である。
 ターン(左折またはで右折)のコッマンドはTで表す。パラメータはターンした後の方位である。

6 距離画像で得られる目印
 目印(ランドマーク)は、位置を確認するために用いる。距離画像から得られる目印では、人が用いるそれとは異なり、それが何であるかを認識できない。その存在を確認するだけである。そこで障害物点が目印区間(1mから10m)に連続して6m以上あるとき塀またはフェンスとした。図3のように途切れ途切れにある障害物点は塀やフェンスではない。塀が始まる,および塀が終わる地点は、2mから3m手前で判定している。
 ステレオカメラは1.5m先しか見えない。また、距離画像取得に320ms要するので、時速3キロ(秒速83cm)で歩くと、ステレオカメラの誤差に83cmの誤差が上乗せされる。

7 ティーチング
 ハイテク歩行器は ナビゲーション、シミュレーション、ティーチングの3つのモードで動作する。
 ティーチングモードでは、オペレータ(晴眼者)はPCを起動してからPCを背面の袋に入れて、テンキーで情報を入力する。
 システムを起動すると経路番号は聞いてくるので、番号を入力する。次に “ナビゲーションは1を、シミュレーションは2を、ティーチングは3を入力”と発話する。3を入力するとティーチングが始まる。
 オペレータはハイテク歩行器を出発点におき、進行方向に向ける。ハイテク歩行器はコマンドを聞いてくる。“1はウオーク、2は曲がる、3はストップ、4は話す、5は方位、6は終了”と発話する。
 1のウオークを選択すると、“1は道路の左側を歩く、2は右側、3は真っ直ぐ”と発話するので選択する。次に目印の種類を聞いてくる。“1は目印なし、2は塀の終わり、3は塀の始まり、4は左に電柱、5は右に電柱”と発話する。歩行器の(シャフトエンコーダによる)距離計測の誤差は、路面によって異なるが、舗装道路で誤差は距離の0.5%である。
 目印として「塀の終わり」を選択したとする。ここでオペレータは歩行器を押して歩き出す。出入り口など塀の終わりの条件を満たすものは何であっても、それを目印とするか否かを “1なら目印、2なら違う” と尋ねてくる。正否を尋ねる理由は、目印は歩行区間中に幾つあって良いからである。歩き出すと次の目印の有無を聞いてくる。一つの区間で道路境界(左側、右側、真っ直ぐ)が連続しているなら、次の目印を複数選んでも良い。目印なしを選択すると、“区間の終わりに来たら1を押す”と発話する。区間の終わりに来ると次のコマンドを選ぶ。 経路の終了を選択すると、歩行器は経路情報をテキスト形式で記録し、ティーチングは終了する。

8 ナビゲーション
 歩行器はティーチングで作成した経路情報を読み取とる。利用者は歩行器を出発点においてシステムを起動する。“左側の塀に沿って”、"歩行開始"のように発話する。
 経路情報の位置と方位は(xy、θ)で表す。xyはティーチンした時の出発点を原点とする直交座標の値で、y軸は歩行器の正面方向(ヘディング)である。

8.1 真っ直ぐ
 ティーチングした区間が“真っ直ぐ”の場合、歩行器につかまって歩きだすと、右また左側にそれる可能性がある。歩行器は左右のエンコーダの距離計から現在位置を算出し、その地点が始端と終端を結ぶ線分からからどれだけ離れているかを計算し、歩く方向を“右”、“左”を発話する。利用者は歩行器のハンドルを操作して向きを調整して歩く。
 歩行器は終端の150cm手前まで近づくと“そろそろ”と発話し、20cm以内に到着すると“区間の終わり”と発話する。
 歩行器は常に終端までの距離を計算している。距離は歩行につれて減少するはずである。利用者がハンドル操作を誤り、終端を通り過ぎたときは、その距離は増加に転ずる。歩行器は“遠ざかる”と発話する。“右”または“左”の発話に基づいて歩くと距離は減少に転じて“近づく”と発話する。
 障害物が歩行器の前方にあるとき2段階の警告を出す。2m以内にあるときビープ音“ポー”を出す・3m以内なら“3m先注意”と発話する。また、左側の塀などに近寄りすぎると“右”、右側の塀などに近寄り過ぎると“左”と発話する。

8.2 左または右側を歩く
 区間が“左側を歩く”または“右側を歩く”の場合は、塀やフェンスに近寄り過ぎたり離れ過ぎたりした場合、ステレオカメラは警報を出す。利用者は歩行器を左または右に寄せなければならない。歩行器を左右に寄せる場合と左右に向ける場合は音声指示が異なる、左に寄せる場合は”チッチ“とビープ音を鳴らし、右に寄せる場合は”ピッピ“と鳴らす。利用者は歩行器の前輪を接地したままハンドルを少し持ち上げ後輪を浮かせて、右または左に並行移動する。シャフトエンコーダは後輪についているので、歩行器は位置が変わったことを検知しないがステレオカメラは変化を検知し警報を出さなくなる。
 一方、“左”または“右”の発話で左/右にハンドルを向けて歩くと(左/右のエンコーダの回転数の差で)歩行器の横方向の位置が変わる。 
 道路の右側または左側を,塀や白線に沿って歩く場合も、目印を用いる場合も、真っ直ぐ歩く時の機能は適用される。
 歩行器のシャフトエンコーダによる距離計測の誤差は、路面によって異なるが、舗装道路で距離の0.5%である。

9 曲がり角
 曲がり角で右折の指示を受けたら、ハンドルを少し持ち上げ右のキャスターを中心にして90度右回転する。
 視覚障害者は90度向いて次の歩行区間を歩こうとしても、うまくいくとは限らない。ティーチングした曲がり角の地点より手前ならはフェンスが障害物として検出され、曲がり角の地点より先に進んでいれば道路が検出され“広場か交差点”と発話する からである。そこで視覚障害者は歩行器のハンドルを少し持ち上げ横方向に蟹のように歩いて次の歩行区間の道路を検出するようにしなければならない。
 ナビゲーションの場合は、歩行区間の最初で“左側を”、“塀に沿って”と発話があっても左側の塀が検出されなければ、“歩行開始”の発話はない。

10 結び
 ハイテク歩行器の問題点は、人で混雑した環境では距離画像が障害物で一杯になり歩行区間が検出できないので、音声指示が出来ず、利用できないことである。また、雪のあるところでは距離画像が得られず利用できない。
 ハイテク歩行器は、
1)   視覚障碍者が単独歩行でき、朝の散歩や友人宅、郵便局、コンビニなど行くときに利用する。
2)   小型で使い方が簡単である。
3)   ハンドルにつかまって歩くので安全である。
4)   電車やバス、車に乗せられる。  
5)   安価である。
6)   白杖の併用により道路交通法規に抵触しない。

参考文献
[1]丹沢勉、森英雄"ステレオカメラによる歩行ガイドロボットの緩急認識"、RSJ2012AC3c2-7、2012年

2016年8月3日水曜日

ハイテク歩行器「ひとみライト」とは


ハイテク歩行器 ひとみライト


概要

 日本の視覚障害者の中で、約10万人は白杖を使い単独歩行で外出しています。9千人は家族やガイドヘルパー(注1)につかまって歩き、週に2ないし3回外出します。しかし、散歩や友人宅訪問などに、行政からの派遣ガイドヘルパーを頼むことができません。
 盲導犬の稼動数は約一千頭で、需要に遠くおよびません。
 そこでハイテク歩行器「ひとみライト」の登場です。

 「ひとみライト」と名付けたハイテク歩行器は、手押し歩行車(シルバーカー)にステレオカメラとコンピューターを乗せた、視覚障害者のための歩行支援器具です。
 「ひとみライト」にあらかじめ散歩や友人宅までの道順を登録しておくと、そのハンドルにつかまって歩いて、出発点から目的地点まで到達できます。その経路の事前登録を行うのは、専門的な訓練を受けたオペレータです。

 進行中の「ひとみライト」は、スピーカーまたはイヤホーンを通して、言葉と警告音で利用者を安全な経路で道案内をします。
 障害物が前方にあると"2メートル先注意"と発話し、さらに近づくと"ピー"と警告音をならします。塀や垣根に沿って歩くときは、近づき過ぎたり離れ過ぎたりすると警告音を鳴らします。
 "ピッピ"は右に寄りなさい、"チッチ"は左に寄りなさいというサインです。真っ直ぐ進んで安全なときは、"ピンポン、ピンポン"と鳴らします。
 "右に塀がある"、"広場か交差点です" などと、道路の状況も伝えます。

 「ひとみライト」の使い方は、ハンドルの右のブレーキをチョンと押したり、長く押したりして、動いたり止まったり指令をする簡単な方法ですが、利用には若干の訓練が必要です。
 右や左に寄ったり曲がったりするときは、歩行器の後輪を少し上げて、右または左にずらします。
 交差点を渡るときは、赤信号が青になったのを確認してから、黄色い旗を揚げて渡ります。信号のない交差点では、自動車の走行音に注意して、渡るタイミングをはかります。


ステレオカメラによる歩行経路検出方法

 「ひとみライト」は、市販の手押し歩行車、ノートパソコン、ステレオカメラ(山梨大学開発)、超音波センサー、磁気方位計、距離計などで出来ています。

 ステレオカメラは、2台のビデオカメラを左右に20センチ離して置き、2つのカメラ画像の視差(横ずれ)から距離を計算し、近いものは赤く中間は黄色、遠くは青く示す距離画像で表現します。
 ステレオカメラの検出範囲は角度52度の扇状で、距離50センチから約25メートルにある物体を検出します。

 下図の右上は右側カメラ画像で、スカートをはいた人物①と、白壁②、街路樹③が写っています。右下は距離画像です。人物と街路樹は黄色に、白壁は赤ー黄ー青に写っています。
 左は路面より10センチ以上の距離画像を垂直に投影したもので、三角形は幅80センチ歩行経路を示します。水平線はひとみからの距離をメートルで表します。人物、街路樹、白壁が写っています。

 これによって「ひとみライト」が安全な方向を判断して、利用者を誘導します。


他の歩行支援手段との比較

 「ひとみライト」を使うときは、そのハンドルに片手でつかまり、もう一方の手で白杖を使いながら、「ひとみライト」が発する音声案内で歩きます。
 白杖では気づかない道などから突き出た棒や、道路上に置いた自転車、道で遊ぶ子供などを、障害物として検出して、それがあることを音声で伝えます。

 ガイドヘルパーは人間ですから、どのような場面にも対処でき、白杖で歩行できない視覚障害者にとって、最高の歩行支援手段です。
 しかし、地区によっては、散歩や友人宅訪問などには利用できません。また、利用にあたり予約しなければならず、急用には利用できません。
 「ひとみライト」の重量は6キロ、高さ97センチ、幅50センチ、奥行50センチあります。白杖をもつ視覚障害者にとっては、階段の上り下りの持ち運びが困難です。

 「ひとみライト」と「盲導犬」を比較してみましょう。
 盲導犬はいつでも、どこへでも出かけられる歩行支援手段で、犬との心の交流と毎日の犬との散歩など人気があります。
 全国で盲導犬の利用希望者は4,700名いると言われています。しかし、現在の稼働数は1000頭あまりで、需要に遠くおよびません。

 「ひとみライト」は、玄関に置いておけばいつでも利用できます。「ひとみライト」はいつでもどこへでも出かけられ、道順を教えてくれます。
 メンテナンスが容易で、集合住宅の住人でも利用できます。「ひとみライト」で横断歩道を渡るには、盲導犬利用と同様な訓練が必要です。

 「ひとみライト」と、その前のヴァージョンである「歩行ガイドロボット(盲導犬ロボット)」と比較してみましょう。
 歩行ガイドロボットは自動で動くので坂道を上がるときなどで楽です。また、直角でない形態の曲がり角や交差点などでは正しく誘導してくれます。
 しかし、サイズは高さ、幅、奥行ともに1メートルと大きく、重量が40キロと重いので、玄関に置けず、ロボット小屋が要ります。
 玄関から道路に出るのにスロープを設置する必要があります。車体は電動車いすを改良したもので、車輪が道路から脱輪すると戻れません。道路交通法は、自動で動く電動車いすを認めていません。製造原価が50~100万円と高価です。

 それに対して、「ひとみライト」は軽量で段差などで容易に動かせて、道路交通法規にも抵触しません。
 その部品は、市販の手押し歩行車(シルバーカー)、コンピュータ、ステレオカメラ、それに簡単な電子回路ですから安価です。コンピュータは利用者所有のノートPC(CPUコア5以上)でも利用できます。

(注1)視覚障害者ガイドヘルパーは、研修(最低20時間)を受けて資格をとり、障害者支援事業所などに登録します。視覚障害者は、行政かに対してガイドヘルパー派遣申請(月当たり50~100時間)をします。事業所に日時と利用目的を記した届を出すと、ガイドヘルパーが申請者宅にきます。利用目的は、病気通院や買物などで、散歩や友人宅訪問などは認められません。地区によっては、希望の日の1週間前に届ける必要もあります。現状はガイドヘルパー人員が不足しています。


NPO法人 歩行ガイドロボット

森 英雄

住所 407-0263 山梨県韮崎市穴山町4060-3
電話&FAX 0551-25-3929
mori.rota@gmail.com